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おそらのうえで。

おそらのうえで。

*夢も愛も独り占め*




 「俺、受かったら告るわ」

 受験を控えた

 ある日の昼下がり

 教室のどまんなかで

 君は笑ってそう言った。


 *夢も愛も独り占め*


 「あ~、そうとなったら頑張んべ」


 一人気合いが入る君をみて

 みんな笑ってた。



 知らなかったな。

 君に好きな人がいるなんて。




 「あれ、本気?」


 放課後の教室。

 日直の仕事で残された

 君と私。


 
 私の問い掛けに

 
 「え、冗談っぽかった?」


 真顔で問い返してきた。


 知らなかった。

 君が恋をしてたなんて。


 「ってか、受かる気?」


 自分でふっときながらなんだけど

 君の好きな人のこと考えると

 今すぐココで泣き出しそうだったから

 ちょっと揶揄うように

 君をみて笑った私。


 「受かるよ。んでもって
   夢も愛も独り占めすんの」


 自信満々の君の笑顔が

 必要以上にかっこよくって
 
 胸がきゅんとした。




 君の好きな人。


 そう考えてみれば

 案外近くにいたものだ。


 君と仲良しの

 幼馴染の女のコ。


 頭もよくて顔もいい。

 性格もよくって

 でもそんなこと全然鼻にかけない

 どっか抜けてる

 人気者な

 隣のクラスの女のコ。


 君はあのコと話してる時

 一番いい笑顔して見せるんだ。


 幼馴染だもん。

 お互いのことよく知ってて

 お互いのこと

 きっと誰よりも

 想い合ってたりするもんなんだろね。


 
 ほんとは私も

 考えてたんだけどな。


 志望校受かったら

 君に告白しようかなって。


 なぁんだ。

 告白する前から

 失恋決定か。。。






 受験も終わった

 ある日の昼下がり。



 学校に結果報告にきた私と

 君と

 君の幼馴染の女のコ。



 「あれ、受かったんだ」


 「おかげさまで」


 職員室前。

 君と君の幼馴染の女のコと

 ちょっと会話を交わして

 一人教室に向かう。



 合格通知書眺めながら

 君の告白を想像。



 もう告白し終った?

 二人で来るんだもんあぁ。


 案外同じ大学だったりして。


 あ~・・・ありえるかも。


 夢も愛も独り占めって

 なぁんかよく考えたら

 くっさいこと言ってたなぁ。。。


 気が付けば

 高校3年間を君に

 捧げ過ぎちゃってたよ。


 君しか見えなくって

 他の恋なんて考えてなかった。



 「もったいないことしたかなぁ・・」


 そう呟く私の背後に


 「何が?」


 君がいた。


 「うわぁっっ」


 突然の君の声に

 ただでさえ高鳴る胸が

 いつも以上の爆音をたててた。


 「合格おめでとさん」


 人が驚いてるっていうのに

 君はこれっぽちも動じないで

 にっこり笑ってそう言った。


 「そっちこそ。
   夢と愛、手に入った?」


 だから私も

 にっこり笑って聞いたんだ。



 だって結局は

 聞くはめになるんだもん。


 それだったら

 今聞いたって後聞いたって

 一緒じゃんね。



 私の問い掛けに

 君はにっこりほほえんで


 「好きだよ」


 




 「・・・え?」







 「だから、君が好きなんだって」







 予想もしてなかった君の言葉を

 うまく理解出来なくて






 「誰・・・が・・・?」





 
 へんな質問ばっか






 「俺が」






 「誰・・・を?」





 しちゃってさ。





 「君を」






 足の力も抜けちゃって

 思わずそこにへたりこんじゃった。










 夢と愛を手に入れた君は


 夢を追いかけて

 私の隣にはいない。



 「一人暮らしなんて君には無理だよ。」



 君がココを経つ日

 笑ってそう言ったけど 



 「淋しくって泣くかもね」



 淋しくって泣いちゃうのは私だ。





 夢も愛も独り占めするなら


 ほんとはずっと一緒に


 いて欲しかったんだけどな。








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bbs

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